伍の講座 装飾学について

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U.色のバランスの考え方

 この章では、色のバランスについて講義をしていきます。
 その前に、「色とは何か?」をご存知でしょうか?当たり前の様に見える色の世界、真っ赤な林檎も、青い林檎も同じ林檎ですが、色が違うので、種類の違う林檎と見てとれます。もし、色がこの世界になかったとしたら、何と味気ない事でしょうね。
 例えば、古いモノクロ映画のワンシーンで女優さんの台詞で「なんて美しい海なの!?」とモノクロの海が広がったシーンを見たとき、貴方ならこのモノクロの海にどんな色をつけるでしょうか?それは見る人の思考、つまり自分が今まで見た海の色を思い浮かべるでしょう。それは、人によっては淡い青だったり、濃い青だったり、でも実際の映像の海の色はエメラルドグリーンだったりするのも、映像に色がついていないためそれぞれの想像になってしまいます。でもカラーの画像であれば、言葉がなくても伝わりますよね。

 色とは何かについて
  では、最初に色の定義についてお話していきます。ふだん当たり前の様に地球上に降り注いでいる太陽の光の中には、波長の長い赤から波長の短い紫の光が集まって地上を照らしています。太陽光に色を感じませんが、このような光を白色光と呼んでいます。
 白色光には何色の色が混ざり合っているかはよくご存知だと思います。そう虹の色でもある7色です。
 虹がどうして出来るかご存知でしょうか?虹の出来る時、必ずと言って良いほど、雨上がりに太陽光が出てきたときに現れます。
 右下にあるようにニュートンが発見したプリズムの光の分散が、自然界では雨粒と言うプリズムにて光の分散が起き、光の屈折が起こることで虹のスペクトルを天に描きます。
光のスペクトル





光のスペクトルの発見について
ニュートン(1642年12月25日〜1727年3月20日)が、望遠鏡を作るためにプリズムの研究していた際、白色光がプリズムに射し込むとき、光が分散することを発見し、光の帯をスペクトルと名づけました。
分散する色は赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の7色です。
 プリズム屈折で光の分散が起こり、色のスペクトルを作り出すと言うことは、理解して頂けたと思います。ニュートンの凄いところは、この現象を研究し色彩理論と光の理論を導き出したことです。それは色とは「物」がもつ属性ではなく、色は光の中にあるものだと結論づけ、「物」に色としてみえるのは、「物」の表面へ当った光のスペクトルの一部が吸収され、吸収されなかった光が反射した光が目に入ることで「物」に色がついて見えるためと理論づけた事です。この考えは現在でも正しとされています。
 太陽光の下でみる絵と、蛍光灯の下でみる絵とでは、蛍光灯の下の方がくすんでみえるのは光のスペクトルが太陽光と比べ少ないために反射される光の量が少ないためです。

 食品をスーパーで購入する際、食肉売り場や刺身売り場などの照明を注意深く見てみてください。ほとんどのスーパーでは赤系色の照明(又は蛍光灯下の台が赤色等)を使っていることに気づくでしょう。これは食品に光が当たり反射する色を強調させるためで、つまり肉や刺身はより赤い方が新鮮に感じられ、又美味しく見えるためなのです。
 家に帰り、蛍光灯の下で買ってきた食品を見たとき、白っぽく見えるのそのなのです。つまり、この原理を知っていれば、買い物をする際、本当に食品の色が正しいのかは、場所を変え蛍光灯か太陽光下で今一度確認してみれば良い事です。
 スーパーの例えは視覚の錯覚をあげましたが、逆に寝室などは青系の照明にする事で精神的に落ち着きリラックスすることが出来ます。その逆に赤系の照明にする事で精神が高ぶり興奮する事でやる気が出たりします。
 色には人の行動や思考に多大なる影響力があるのです。

 カラーコーディネート
 カラーコーディネートとは一言で言えば、色を調和させて組み合わせる事です。
 例えば、洋服の色を組み合わせることで、おしゃれでファッショナブルな容姿にもなりますし、逆にちぐはぐな容姿でだっさい格好にもなります。メイクの場合でも配色によっては、若々しい顔立ちにも、老け顔にも見えたりします。
 「色とは何かについて」でも述べたように、色には人の行動や思考に多大なる影響力があります。色の使い方しだいで、人の心を温かくしたり、感動を与えることも可能なのです。
 色彩を組み合わせ、どんな色が好まれ、対象の条件や目的に、最適な色を選び商品のもつ色彩的特性を活かしたり、快適な行動空間を演出したり、色彩の関するすべての問題に答えられる人材や新たに色を提案し、演出を行い色彩の魅力を引き出す仕事がカラーコーディネーターと呼ばれる人たちの仕事です。
 カラーコーディネーターの資格には、試験があり1〜3級までの基準があります。
 Robinはカラーコーディネーターの資格は持っていませんが、ここで使われる基本的な考え方が、料理にも応用できるのではないか?と考え、装飾学の一部に取り入れことにしました。

 色の基礎
 これまでは、色の知識ついて説明してきましたが、次は色の基礎の一部を講義していきます。
 まず原色(RGB)とは赤、緑、青です。中間色を9色加え色相環を作ります。
 この色相環を用いることで、それぞれのバランスを確認することができます。
詳しくはこちらからTOPICS「色相環について」
 色相(Hue)のほかに、彩度(Saturation)、明度(Brightness)三要素やトーン(グレースケール等)などがありますが、ここでは割愛します。

 色のバランス
 では、次に色のバランスについて、基本的なお話をしていきます。
 バランスの基本は明るい物は上へ、そして、暗い物は下へ配置する事です。
 例外もありますが、基本的に太陽は上にあるのですから上部を明るい系統にまとめ、下をどっしりとした茶や黒でまとめると安定感が出てきます。
 例外としては、浜辺を表現するときなどは下部は砂浜の白〜薄茶で上部にかけて青〜深青と濃い色に変化を出すとき等でしょうね。
 色の基礎でもお話したように色相環を使うことで色のバランス・色の調子を確認することができます。
 類似色や補色を使うときや、暖色系や寒色系を使いときも、その時々のTPOで同調や変化を出すことが大切だと思います。
 色のバランスは、全体のバランスに大きき影響し、質感も大きく変化します。個性が出しやすい処でもあります。

 では、これまでの配置と色のバランスを念頭に置き、これをどのように料理に反映させるかが、この装飾学のテーマですのでそちらの話に移っていきたいと思います。

 最終章 装飾学のまとめへお進み下さい。
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