参の講座へようこそ
参の講座では食材の豆知識について講義をして行きます。
最初は、お肉について取り上げて見たいと思います。
日本人にもっとも馴染みがあり、手軽に購入できるお肉は「牛肉」・「豚肉」・「鶏肉」の3種類だと思います。
最近は羊の肉(ラム肉)もスーパーでみる機会が増えてきましたが・・・。
昔は酪農家の方々以外の方でも、ご自宅で鶏などを食材用として飼われていた方も、お見えになったと思いますが、最近の都会では観賞用(ペット)として飼われる方も少なくなっている気がしますね。
最近は豚の仲間のポットベリー・ピッグ(ベトナム原産のアメリカで改良されたペット用ミニ豚)が、注目されているとの事ですが、ここではあくまでも食肉用のお肉がテーマですので・・・。
話を戻しまして、昔の家庭では食用に飼われていた、鶏や豚・牛は各家庭で「と殺」し解体していましたが、現在はスーパーへ行けば、既に「と殺」し、解体した状態でそれぞれのパーツに分かれて売られています。
肉と一口に言ってもピンとこないので解剖学的に分類してみました。
肉は細胞の塊です。その細胞が沢山集まり、DNAと言う地図に基づき、組織を構成し組み合わさって、器官となります。 その組織には、4種類の
上皮組織・
支持組織(結合組織)・
筋肉組織・
神経組織に分類されます。
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上皮組織の働きは、表層の皮膚(体内の保護)や消化器管の内壁(栄養などの受け渡しなど)を覆っています。
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支持組織はそれぞれの組織や器官のすき間を埋め、かつ保護をしています。
脂肪組織や骨組織なども支持組織の一部なのです。
支持組織の脂肪組織には白色脂肪組織 と褐色脂肪組織があります。
白色脂肪組織とは、細胞組織内へ中性脂肪を貯蔵をする栄養の貯蔵庫的な働きをします。
脂肪組織の大半は、白色脂肪組織で占められ白色(やや黄色)です。
褐色脂肪組織とは、血液中の遊離脂肪酸と反応し、体内の余分なエネルギーを燃やし熱を発生する働きをします。
腎臓の周辺や大動脈周辺などの血管が集まる場所にあり、褐色なので褐色脂肪組織と呼ばれています。
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筋肉組織は横紋筋と平滑筋の二種類に分類されます。
横紋筋には、骨格筋の随意筋(脳脊髄神経支配) と心臓筋の不随意筋(自律神経支配)があります。
平滑筋には内臓筋の不随意筋(自律神経支配)があります。
横紋筋の骨格筋には、赤筋と白筋の二種類の筋原繊維があります。
赤筋は持久力に優れ、有酸素運動向き(長距離マラソン向きの筋原繊維)
白筋は瞬発力に優れ無酸素運動向き(短距離走向けの筋原繊維)
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神経組織は体中の隅々まで伸び、脳から情報送ったり、逆に脳へ情報を送り返す配線の役目を果たしています。
肉を解剖学的に見ていくと、肉とはそもそも細胞の塊であり、細胞にそれぞれの役目である組織の集まりで1固体を形成している事がわかります。肉の評価をする時、牛肉はさし(霜降り)が均等に肉の中にあるものが、いい肉と言われています。実際霜降りの牛肉のステーキは、口の中で溶けます。
「肉とは何か?」を解剖学的に説明しましたが、いかがでしょう?次に
肉の熟成について説明していきます。
鮮魚は筋肉の中に糖類のグリコーゲンが分解する前に食べるから美味しいのですが、肉も「と殺」してすぐ食べる方が、美味しいと思われますか?
肉は「と殺」した直後、硬直状態でも食べることはできますが、「熟成(エージング)」する事で柔らかく、旨味や香りと適度な肉汁が加わり、美味しくなります。
熟成とは
まず「と殺」直後の筋肉繊維は鎖が強くつながった状態になっていますが、時間が経つと共に肉自体の酵素などの働きによっり鎖が切れ、繊維の緊張が解けて軟らかくなります。またタンパク質はアミノ酸に分解され、肉の旨みとなります。
熟成の期間について
熟成の期間はその種類によって変わってきます。
低温熟成法(保存温度が2〜4度の状態)では、牛肉は10日〜14日、豚肉は3〜5日、鶏肉は5〜12時間といわれています。また、冷凍状態では、熟成作用は停止するか、緩慢な状態になります。
店頭に売られている肉は、熟成していて「食べごろ」になっていますので、早目に食べて下さい。特に鶏肉は傷みやすいので注意して下さい。輸入牛肉も、冷凍した状態以外は「食べごろ」の状態ですから、早目に食べて下さい。
では、各種の「牛肉」・「豚肉」・「鶏肉」について個々の説明していきます。